2011/08/19

百億の昼と千億の夜

奈良、興福寺の阿修羅像を知ってる? 
三面六臂の凛々しい少年の立像


教典によるともとはインド古来の異教の神で 
怒りや争い、戦いなどが好きな鬼神 
お釈迦様に帰依して、仏教を守る八部衆に入った 
…そうだ。 



この物語の主人公も「あしゅらおう」という
少女として登場する

















他の登場人物は


プラトン
シッタータ(釈迦)
ナザレのイエス
イスカリオテのユダ
ポセイドン


どこかで聞いたような名前が並ぶ
歴史上の人物なのか?
誰かの小説の作られた人物なのか
(聖書も、教典も、小説とよんでいいなら)
この物語だけのオリジナルの人物なのか?
よくわからなくなってくる


最初に読んだのは
少年チャンピオンに連載されてた萩尾望都のコミックスで
憂いある「阿修羅王」の眉のかたちが好きだった


中学生だった私には
このコミックスの世界観が、その後の私にとっての宗教観を形つくり
どんな哲学書より深くその後の人生観に影響を受けている


新星雲紀。双太陽青九三より黄色一七の夏。アスタータ50における惑星開発委員会は、<シ>の命を受けアイ星域第三惑星にヘリオ・セス・ベータ型開発を試みることになった。 
なんか、かっこいいでしょ〜!? SFでしょ〜!?

今まで聞いた事のないカッコイイ言葉がいっぱいあった


 アトランティス滅亡
 ソドムとゴモラ
 オリハルコン
 思考コントロール
 ディラックの海
 弥勒
 転輪王
などなど
意味はよくわからないけど、とりあえず、会話の中で使ってみたり…
理科のテストでまったく答えのわからない時は
「ディラックの海」って書いてみたり
冬休みの書き初めの宿題には
阿修羅王」と書いて提出したり
(だいぶイタイおかしな中学生だったようだ)


そこから、原作の三瀬龍さんの「百億の昼と千億の夜」を読んでみた
その頃の私にはあまりにも難しい文章と内容だったように思う
進化とは何?
誰が神を作ったの?神とは裁くものなの?
常に語られる終末論は洗脳?
何のための祈り?
人類はだだの実験だったの?


意味のややこしいところは飛ばしながらもなんとか読んでみた
コミックスとまた違う深い感動を感じた


すべての戦いが終わり、独り残ったあしゅらおうのつぶやきで
この物語は終わる



この世の変転は実はさらに大きな変転の一部に過ぎないのであり 
それすらさらに広大なるものの変転を形成する微細な転回のひとつにしか過ぎないというのか 
真の超越にいたる道はいったいどこにある 
すでに還る道もなく
あらたな百億の、千億の月日があしゅらおうの前にあるだけだった




15歳の私
この阿修羅王の孤独と永遠の戦いに
何かを感じたんだろうなあ…

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