2012/04/03

「カタリの世界」

























「太陽」という雑誌があった
いつの間にか廃刊になってしまっていた
特集がいつもシブかった
白洲正子さんを知ったのも
建築とアートに興味を持ったのも
この雑誌の特集からだったような気がする

その「太陽」の別冊として何冊かが刊行されている
毎回、なかなか興味深い特集なのだが
今回はたまたま「カタリ」とい言葉に何かを感じて
久しぶりに雑誌を購入

さてカタリとは?
サブタイトルは「昔話と伝奇伝承」
「はじめに」として前書きが書かれてるのでそれを抜粋してみよう

言霊。コトダマと読む
言葉には魂がある。言葉には神がやどる
音に、オンに意味がある
太郎という男の子がいる、タロウと発音する
「太郎」 漢字で書くと、何でもない名前
どこにでも普通にある名
しかし「タロウ」と書くと、変身
タロウは「タレル」となり
神のこの世での御姿となる
タロウ→タロ→タレ→タレる
垂れる
神がこの世に垂れ給うた
その御姿は童子、赤子
金太郎に桃太郎に浦島太郎に、「ものくさ太郎」
太郎は神の子
ー中略ー

語呂合わせと笑ってはいけない
音(オン)の呪術はオソロシイ
「祈る」は、「イノル」→「ノル」となり
「ノロウ」に至る
「呪う」そう、「祈る」は「呪う」でもあった
なぜ
カタリが「語り」ではなく「かたり」でもなく「カタリ」なのか
カタリというオンの中に騙りも脅しも籠められている 
だますことも、カタリ
恐ろし気なことも、カタリ
うさんくさく、インチキで、奇怪なことがカタリ
けれど「カタリ」は、何よりも不思議

昔むかしのものがたりは、カタらねば、始まらぬ
御伽話に昔話に、神話に、伝承に、
カタリの呪術
言葉の呪力

ー中略ー

言うにもオンの呪術
イウはイワウ。祝う。

カタリの神は福神
カタリの神は来訪神。遊行神
神を迎えて、カタるは、四季の景、祝言
「目出たい、めでたい」と、先に言ってしまえば
福がやって来る
富がやって来る
カタリとは、呪術
カタリとは、呪力
カタリのハナに、神は宿られる
カタリとは招福
カタリとは幸福


「金太郎」はカタリの中で
神の赤子となり
現在に残る神事の中で名を変え
時には形さえも変えて奉られる
「浦島太郎」「桃太郎」も私が覚えている昔話とは
ビミョーに違ったカタリによって奉られる

カタリを聞きに色々な取材を重ね
まとめられた話で構成されている
写真も美しく
興味のある部分のみ拾い読みしても、充分楽しめる
興味のない人にはまったく
「なんのこっちゃ!?」という内容だが
民俗学にちょっと興味があって
「カタリ」という言葉だけでも、
おおっ!」と思う人には
なかなか「タメになる本」である