2011/11/10

バナナフィッシュにうってつけの日








D.J.サリンジャー
1943年













サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の読後感は
なんだか、わかったようなわからないような

私はモヤモヤしたまま、短編なら面白いのかもしれないと思って
この「ナインストーリーズ」にチャレンジ

9編の短編の中で一番印象的だったのは「バナナフィッシュにうってつけの日」
原題は [A Perfect Day for Bananafish]

ストーリーは
フロリダのリゾートホテルが舞台
主人公のシーモアは戦争からもどってきて、その疲れをいやすために
二回目のハネムーンにでかけた
彼の奥さんが母親と話す長電話の内容が延々続く(12ページほど)
どうやらシーモアは不可解な行動が多く、周りも心配してる様子
そして海へ出かけたシーモアと奥さんの友人の娘シビルとの
とりとめない会話が続く
その会話に出てくるバナナフィッシュの寓話が面白くて心に残った

バナナフィッシュはバナナがたくさん入ってる穴の中に入ってしまうと
入った時は普通の形をした魚なのに、猛烈にバナナを食べてしまって
食べ過ぎたあげく太ってしまい、二度と穴の外へは出られなくなって
バナナ熱にかかって死んでしまう

そんな話をシビルに話したあと、部屋へ戻って
拳銃で自殺してしまう

かいつまむとそういうストーリーだ
これもまた…わかるような、わからないような
この時代のアメリカの「戦争」
そして「バナナフィッシュ」が何の比喩なのか理解する必要があるのだろう
そもそも「無理に理解しようとする話」ではないのだろう
「何かを感じる」話なんだろう

とりあえず、自分の生活の中で当てはめてみて
過剰に「モノ」を摂取する事は
自分を肥大させすぎて身動きが取れなくなるから気をつけよう
というあたりで自分への戒めとしよう

いや!違う!主人公はシーモアなんだ
シーモアの心の繊細な動きを感じるんだと自分に言い聞かせてはみたが

だけどあえて思う
私はこういう繊細な心の動きを読むのは苦手だ
ウェットな話だ、だいぶ湿り過ぎだ
繊細な心の動きを感じれないなんて「ガサツな女だ」と
言われても仕方ない!
こういう繊細な主人公の心と共感して
訳された文章の見えない行間を読むような感受性の持ち主でなければ
「アメリカ青春文学」を理解したり感動したりするのは難しいのかもしれない
私には向いていない!

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